TJAR行動記録 その7

kadokichi012008-09-12


7日目・8日目(百間洞〜大浜海岸)

◆百間洞キャンプ場出発 8/16 3:00

ツェルトで寝ていると先に出発する岩瀬さんが声をかけて来てくれた。「頑張ろうね。ゴールしようね」。もうすぐ旅も終わることもあってちょっと涙が出そうになったので、ツェルトの中から返事をした。そして3:00、湯川選手とともに出発。西岡選手はもう少し寝てから行くとのこと。キャンプ場下の山の家で水を補給してスタートする。暗いうちに子兎、兎岳を通過して朝には最後の3000m聖岳を登る。今日もまたまた調子がいい。熊の平で見た天気予報では、今日は天気が崩れるようだったので、途中に出会った外人の夫婦には今日は雨が降るかもと言ったら笑われた。確かにあまり降るような雰囲気もない。湯川選手に少し遅れて最後の大登りをしっかりと楽しむ。聖から北を見ると今まで歩いてきた南アルプスが一望できて感動した。

聖岳 8:01

聖岳を降りて、聖平小屋で食事。腹が減っていたのでカップラーメンを2つ頼んだら、その後にご飯もあるよと言ってくれる。とりあえずご飯ももらう。ご飯、味噌汁、ゼリーまでついたので、カップラーメンは食べ切れなかった。そこから最後のピークになる上河内岳へ。頂上付近の草むらで本日も湯川選手と二人で20分ほど昼寝。この昼寝が本当に体を生き返らせてくれる。上河内を過ぎると後は下りが中心となる。茶臼小屋には昼過ぎに着いた。

◆茶臼小屋 13:15

山小屋の食事もここで最後となるとなんとなく感慨深くなる。昼寝している間に追い越していた西岡選手が先に到着していて、ご飯を食べていたので同じものを注文する。ご飯、味噌汁に漬物、りんごも買う。食べていたらお代わりもいいですよということで、お代わりする。りんごも食べてすっかり満腹に。本当に山では食べすぎるくらい食べた。山小屋で食べたものも楽しい思い出となった。外のテーブルで食べていたので小屋に食器を持っていき、「ご馳走様」を言い、「がんばれよ」と見送られながらスタートする。元気よく出たのはいいが、小屋にお金を払うのを忘れてしまったことに後から気づく。湯川選手に聞くと破格の安さだった。今度行った時には、お礼とお金を払わないといけない。尾根からはずれて、ここからは長い下り。ひざの調子が悪い湯川選手に先行、横窪沢で西岡選手に追いつき、しばらく並走する。しかし西岡選手のペースが速く、これからのロードを考えて少し自重、西岡選手に遅れて、ゆっくりと降りる。川が見えてきたのでもうすぐ畑薙大橋かと思ったが、ここからが長く、小さいつり橋をいくつか渡った後、最後のヤレヤレ峠を本当に「やれやれ」と超えて、やっとの思いで畑薙大橋へ。このあたりから少しずつマメの痛みがやってきていた。畑薙大橋を越えて、ダムの駐車場では、残念ながら途中リタイヤした実井選手と平井選手が応援に来ていてくれた。応援を受けながら畑薙第一ダムへ。公衆電話で本部に連絡した後、ロード用に靴下や服を着替えて1時間ほど休憩した後、最後のロードへと進んだ。

◆畑薙第一ダム 17:33

畑薙大橋を渡ると山道は完全終了。
畑薙からは下り中心。早歩き程度だが足を進める。夜になって回りも良く見えず単調なロードに閉口。白樺荘ではNHKの人が(取材?)応援をしてくれる。そこからは徐々にマメの痛みがひどくなる。同時に眠気も襲う。途中何度か道路わきで10分ほど寝る。それ以上寝るとずっと寝てしまいそうな気がしてなんとか起き上がって進んだ。道路わきの「静岡まで○○km」の表示が500mごとに出てくるのだが、なかなか進まず、標識を見るのもいやになってくる。井川集落に来た頃には痛みがひどくなり、シューズを脱ぐと両足とも踵の内と外、拇指球のあたりに3つの大きなマメが。水は抜いて絆創膏を貼ったものの時すでに遅く、痛みは治まらない。しかたなく痛いまま進む。痛みのためあまり食欲もわかず、自販機のジュースだけで進む。井川ダムに到着したものの、まだまだ続くロードを思うと少し元気がなくなった。

井川ダム8/17 0:45

ここから富士見峠までは上りが続く。眠気は相変わらずで自販機があるとコーヒーを買ってなんとかしのいだ。富士見峠あたりのロードはどこかでなんとなく見たようなデジャヴ現象が少し起こった。夜明け前は結構寒く、コーヒーも温かいものにした。夜明け頃になんとか富士見峠に到着する。

◆富士見峠 5:00?くらい

この峠を越えるとやっと下りになるが、豆の痛みは上りも下りもあまり変わらない。むしろ下りのほうが痛いくらい。この道が合っているのかどうかも少し不安になりながら下っていく。途中の道路のUターン的な折り返しが何度かあり、方向感覚も狂わされてしまう。しかし明るくなってくると眠気も治まってきた。最終日も天気はよい。横沢の集落手前のまだ山の中に手作りパン屋さんが1軒ポツンと立っていたが、時間が早すぎてまだ店が開いていなかった。それからしばらく行くと、ゴールした後、ご主人の車で応援に来てくれていた間瀬選手に遭遇。少し並走してもらい元気をもらった。それから飴本選手も応援に。飴本選手は畑薙まで行き、伊藤選手をピックアップしていた。横沢の集落ではお店でパンとコーラを買って朝食。少し元気が出る。とにかく歩き続けることでマメの痛みはまぎれるので、なるべく休まず進むことにする。静岡市内には入っているが、まわりは山村の雰囲気で、まだまだ市街地は遠い感じだ。横沢あたりからどこにいるかがしっかり把握できてきて、ゴールを少し意識するようになる。油島の玉機橋を渡るとあとは駅までまっすぐ進むだけ。車が増えて街に入りつつあるが左手にはちいさな山も迫っていて、海が近い感じがしない。自販機も頻繁にあるので、ハイドレーションも空になっていたが気にせず進む。途中今日3度目の間瀬選手の応援を受ける。さらに先行していたはずの星野選手が後ろから登場。やはりロードに苦戦しているようだ。その後なんとか駅付近までは二人で進み、そこからは星野選手がラストスパートで先に進んでいく。静岡駅からはあと5km程。ゴールは確信したが、安心感とかはまったくなく、うれしさより足の痛みから解放されたい、そのために早くゴールしたい一心で足を進める。最終日はほとんど食べ物らしいものは食べておらず、腹も減っているのだろうが全然気にならなかった。駅を過ぎて線路を越えた後は、大浜海岸への道を数人の人に聞きながら慎重に進む。「結構遠いよ」と何度か言われた。大浜海岸までまっすぐ進む道路に入ってからは、とにかく何も考えず、ひたすら足を前に進めた。海岸へ入る入り口が見えてくると、ゴールした選手やスタッフが手を振って待ち構えていてくれた。最後の声援を受けて、皆で海岸まで行き、海に触ってついにゴール。ものすごい感動が襲ってくるかと思ったが、痛みのつらさでそれどころではなかったのでした。
血尿は最後まで治らなかったが、ゴール後しばらくしてトイレに行ったら治っていた。それから以後、まったく正常になった。治りかけていたのか、体が安心したのかわからないが、体も正直なものだ。

◆静岡駅14:40
◆大浜海岸(ゴール)15:46

長くて短い1週間だったが、とても楽しい旅ができた。大会スタッフや一緒に走った選手、応援してくれたすべての人に感謝したいと思います。ありがとうございました。