9月17日18日 第9回雁坂峠越え秩父往還141km走

主催は奥武蔵と同じ、スポーツエイドジャパン。
館山さんの大会はどれもよい大会ばかりである。
今回の秩父往還は、甲府から雁坂峠を越えて、秩父、川越へと至るコース。
トレイル(13km)とロードと一粒で二度おいしいコース?
骨折して初めて100km以上走るが、これで大丈夫なら大丈夫だろう。

前日から天気が心配されたが、当日は晴れ。夜明け前の甲府駅に集合して、駅の階段で記念写真。
知り合いの方々と挨拶。
準備運動もしまいままスタートする。

■スタート:甲府駅北口 5:00

甲府市内の数百mほどの愛宕山を越えてから、峠に続く雁坂みちへと入る。最初は25.5kmまでエイドなし。天気はすっかり快晴で夜明けから暑い。雁坂峠登山道の入り口の標高が1000m。そこまで、30kmくらいかけて、徐々に上っていく。ガソリンスタンドでトイレを借りて小休止。身も軽くなる。

■CP1:道の駅まきおか 25.5km 7:44

長い上りの途中にやっと最初のエイド。富士山もしっかり見えていた。しかし、さらに雁坂峠のピークまで、20kmあると思うと気がめいる。エイドで休んでいるとミチヒロさんとアロハさんが追いつく。しばし休憩後、二人に先立ち、ひたすら上りの道路に戻る。少しずつ、傾斜もきつくなり、ペースが落ちる。まだ100km走らないといけないのに、足が疲労で痛くなってくる。かなりタフなコース。それでも山が近くなり、天気が良いせいもあって、景色がよい。これから上る雁坂峠もしっかり上まで見えている。

■CP2:雁坂峠登山口 40.0km 9:26

フルマラソン近い距離を走ってやっと登山口へ到着。エイドで15位と言われる。そんなに前にいたとは驚きだった。エイドを出発して地図を見ていると「同行させてください」とNさんが声をかけてくる。山はあまり走らないので、慣れていないらしい。しかし聞くと、100kmマラソンではサブ9のツワモノ。こっちが付いていけるか不安になる。しかし、登山道に入ると自然と足が前に出る。沢伝いに上った後は、一気に上までつづら折に高度を上げる。とにかく快晴で景色も最高。日が当たってかなり暑いが、気分はよい。Nさんも足取りかろやかに、二人でしっかり峠まで休みなく歩き続ける。峠では、登山客が木のベンチで昼食を取っていた。こっちも休みたい気持ちに襲われる。せめて携帯のカメラで写真を撮ろうとするが、カメラがうまく動かない。せっかくのきれいな景色は撮れずじまいとなった。仕方ないので、景色は目に焼き付けて、雁坂小屋へと降りる。

■CP3:雁坂小屋 47.0km 11:19

雁坂小屋のエイドは、カップラーメンを紙コップに小さく分けて置いてくれていたりといたれりつくせり。自分はおかゆを少し食べ、美味しい湧き水を飲んで、出発。今度は下り。山では、いつもトレイルシューズなので、足元が少しおぼつかない。後のことも考えてゆっくり行こうとするのだが、だんだんペースが速くなる。一緒のNさんも「速いですよ」といいながら遅れることはなし。川又までは10km近くひたすら下る。下に行くに従ってガスが出てきて、曇り空に変わってきた。長い登山道を1時間以上下ってやっと道路に出る。さらに数km進んで、次のエイドにやっと到着する。ここまではウォーミングアップ(?)で、ここからがウルトラ本番といった感じ。まだ80km以上あるのが恐ろしい。

■CP4:秩父市大滝川又「扇屋山荘」 57.0km 12:48
 
エイドでは、館山さんみずからお出迎え。特製のかぼちゃ入り野菜カレーをいただく。これがうまい。思わず「うまい!」と叫んだら館山さんも喜んでいた。順位は山でごぼう抜きして、7位に上がっていた。「入賞は6位までだからもう少し頑張って。豪華賞品もあるよ」と言われるが、前の人は見えないし、一緒に来たNさん(一応後ろにいたので8位)も自分よりは確実に速いはず。この時点では、入賞など考えられなかった。しかしこの「豪華商品」が最後に自分を頑張らせてくれることになる。

カレーを食べて休んだ後、秩父往還の道へと入る。川又の集落からは山の中腹沿いに沿って進む道で、家並みも趣がある。ところどころに湧き水が引かれていて、山村の雰囲気がたっぷりあるところだ。ロードでは確実に速いNさんに、ここで先行してもらおうとしたが、いけるところまでは一緒にいきましょうということになって、山とは反対に今度は、ひっぱってもらうことにする。このあたりからは、少しずつ下っていくことになる。途中一人抜かれたが、後は誰にも会わず、二人で走っていく(8位と9位)。

■CP5:秩父市大滝大輪「増田屋」 71.5km 14:28

ここのエイドで、やっと半分走ったことになる。あとここから半分あるのかと思うとエイドで休んでいてもぐったりする。それでも、後半は下り中心だし、峠越えもないと思いなおし、再び走る。Nさんには相変わらず引っ張ってもらう。走っているペースもエイドの休憩を除けば、しっかりキロ6分切っている。少しずつではあるが、下っているのでそんなに体力の消耗は激しくない。秩父西武秩父駅が近くなってくると、かなり街らしくなってくる。早くエイドで休みたいのだが、なかなか着かないので、少しNさんのペースが上がってくるのがわかった。必死で後を着いていく。二人とももう口数もなくなって、ひたすら走り続けるだけの状態。

西武秩父の駅を左手に見ながら通り過ぎると、熊木商店に到着。そこで、なんと優勝候補の鉄人が座って休んでいる。こっちがびっくりである。雁坂あたりでの状況はエイドの人に聞いてわかっていたが、Tさんとの掛け合いで、かなり消耗してしまったらしい。「完走はしますよ」と言っていたし、彼の精神力なら大丈夫と思ったが、結果はDNF。体調はかなり悪かったようだ。スポーツエイドの大会では、選手としてだけでなく、スタッフとしても頑張っている彼がこういう形でリタイヤするのは、とても残念だった。

■CP6:秩父市役所手前「熊木商店」 90.0km 16:30

ここで、ずっと引っ張ってもらったNさんもかなり疲労がたまっているらしく、悪いが先行させてもらうことにする。鉄人もまだ休んでいたので、自動的に7位になった。しばらく進むとまた正丸トンネルまで緩やかな上りとなる。段々暗くなってきたところで、さらに雨も降り始める。ペースは一人になったこと、上り坂になったこと、これからの足の体力も考えて、少し落とすことにする。駅としては、西武秩父から横瀬芦ヶ久保・正丸と3駅分を走るだけなのだが、さすがにこのあたりになると、一駅が長く感じられる。正丸トンネル(約2km)も皆が危ないと言っていたが、視線を落として、歩道をしっかり見ながら進んだので、そんなに危険は感じなかった。トンネルを出て、見慣れた「本邦帝王切開術発祥の地」の碑を通過。なんとか正丸駅向かいの正丸屋に到着する。

■CP7:西武秩父線正丸駅入口前「旧・正丸屋」 104.0km 18:13

エイドでは、お店のおばちゃん特製のうどんを出される。すごい美味しそうだったが、すでに胃の調子は悪く、少し口を付けただけで残してしまった。ごめんなさい。ここで、ヘッドライトを着け、モンベルのライトジャケット(通称ペラペラ)を着て、雨と夜に備える。あと40kmを切るが、走るのがつらい。当然足は痛いが、故障しているわけではない。あとは精神力の問題。いつもなら、ここで歩くことも考えるのだが、スタッフから「6位だよ」と言われる。この区間は選手には誰にも会っていないはずだが、順位が上がっている。確認したが6位とのこと。一人途中でリタイヤして電車に乗ったのか? わからないが、とにかく入賞圏内に入った。「豪華賞品」(?)がもらえるかも…。とにかく豪華商品めざしてもう少し我慢して走ることにする。ちょうどエイドから出る時にNさんも到着。健闘を誓い合う。

ここから久保交差点までも緩やかな下りが続く。雨はそこそこ降ってきて、歩道にはところどころに水溜りができている。最初はよけて走っていたが、車のヘッドライトが正面から当たってよく道が見えず、何度も突っ込んでいるうちにあまり気にならなくなる。足はシューズの中でザブザブいっている。でも疲れてくるとどうでもよくなるものだ。ロードだと車も通るし、街灯もあるので、道を確かめるだけなら、ライトはいらない。頭のヘッドライトは車へ自分の存在を知らせる役割になっている。この区間は人家も少なく寂しいので、道がさらに長く感じてしまう。

■CP8:日高市久保交差点手前 121.6km 20:21

ついに最後のエイドに到着。くず湯をもらうがまた、一口しか入らず。しかしあとは携帯しているカーボショッツでもつだろう。あと20kmはエイドなしだが、休むと体が動かなくなると思ったので、3分くらい休んですぐ出発。体力的に走り続けることはできると感じたが、精神的にはいっぱいいっぱいでもう歩きたい。再び「豪華商品」を頭に浮かべて、ひたすら頑張ることにする。あとは平地をひたすら進むだけだ。エイドのスタッフに最後の曲がる場所を確認して出発。この区間は車も多く、道幅も狭い。ところどころ歩道が切れているところがあって、かなりこわいところもあった。もうあとはひたすら「我慢」「忍耐」で走る。一回歩いたらもうだめになりそうだ。10km程、進んだ時点で、久しぶりに前方にランナーを発見。信号で待っているところで追いつき、声をかける。ウルトラでよく見かけるTさんで、彼を抜いて順位がひとつ上がった。またひたすらゴールまでの道を直進。最後はゴール手前1kmくらいのところで連雀町で左折するのだが、あと10分から20分かかるはずと思っていたところ、いきなり連雀町の交差点が現れる。本当に曲がってよいのか、自信が持てないので、後ろのTさんを待って、二人で確認。間違いないということで、再び走る。ここからはあと1km余り。となれば、最後は頑張って、再びTさんに先行。怪我も故障もなく無事にゴールすることができた。ゴールしてすぐ一杯ビールを館山さんみずからついでもらう。もう胃はかなり弱っていて、一発で胃の調子が悪くなる。それでも完走の美酒の味は格別だった。

■ゴール:川越市「健寿村」 141.0km 22:40 総合5位

しかし、100km以上走ることは、体力的にも精神的にもやはりきつかった。
今回は、Nさんに30kmも引っ張ってもらったことが一番大きい。最後に「豪華商品」(けっして入賞ではない)目指して頑張れたのも、自分の器の小ささのおかげか。雨も体を程よく冷やしてくれるなど、いろいろラッキーが重なった。

一緒に走ってくれたNさんは最後少し歩いて、さらに道を間違えてしまい、かなり遅れてゴール。山で少しオーバーペースにしてしまったかもしれない。

終わった後は、風呂で汚れを落とす。今回はワキずれがひどくて、風呂で痛かった。上がった後はラストオーダー前の食堂で、そばを食べる。仮眠して次の日朝、食堂の朝食を食べ、さらに10時からの表彰と懇親会でもしっかり食べて栄養補給した。楽しい時間だったが、疲れていたので、途中で退席して家路についた。
 
久々のウルトラで、足だけでなく、上半身ももれなく筋肉痛になってしまった。

シューズ:サッカニー・グリッドハリケーン8(安定していてウルトラに最適・個人的にですが)

★豪華商品は…カッパのハーフパンツでした。サイズがMしかなかった。私はSなんですが…。
このために頑張ったのか…。